ピンポイントとMassの両作戦

2004年05月13日
欧米で通常使用される攻撃方法は、ピン・ポイント攻撃とマス(大衆)攻撃である。
情報による攻撃の場合も、この方法が取られる。
その理由は、攻撃の真の発信源を誰にも知られたくない、或いは、反撃され難いということが、まず挙げられる。
日本のように、ある人を通じて、問題を伝える、という間接的な情報伝達手段は取りにくい。できるだけ、人間を媒体として使用したくないのである。Ernest Hemingwayの小説に、『To Have and Have Not』という小説があるが、そこに、『人間は口がある』から(信用できない)という科白があったと思う。『大事な情報を知られたら、人間は口があるから、殺す以外に完全な情報秘匿の方法は無い』という意味である。
ピン・ポイント作戦は、『高度な技術力・テクノロジー』と『必要で且、十分な爆薬』が必要であるが、ダメージを与える対象以外を標的にしないために、発信者の存在を他に隠すことが容易であったり、反撃のチャンスを与えることが少なくできる。
また、不特定多数を対象にする場合も、動機や原因を探られる心配が少なく、発信源を秘匿しやすい。
高度な情報管理能力と情報操作能力、さらに、高度で有効な情報テクノロジーを有するグループが存在する場合、ピン・ポイントとマスプロダクションによる攻撃・情報操作が最も、安全な攻撃方法である。
また、ピン・ポイントとマス攻撃は、攻撃対象に対する発信源の評価によることが大きいと考える。ピン・ポイントの方が、危険率がやや高いからである。また、ピン・ポイントの方が技術的に高度である必要が多い。
おそらく、どちらを選択するかを決めるのは、攻撃する者の、相手に対する評価の違いによる。ピン・ポイントの攻撃・情報のリークを選択する場合、発信源、攻撃主体は、相手への一定の尊敬・敬意、プラス評価を与えている、と思われる。
(参考例) ハマスのガザ地区指導者・ランティシ氏が17日、イスラエル軍の攻撃ヘリで暗殺された。(ピンポイント掃討作戦)
http://blog.melma.com/00112192/20040419212559
http://blog.melma.com/00112192/20040419015814
2日夜(日本時間3日未明)、イスラエル軍のヘリコプターが車両を標的にミサイルを発射、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの武装組織「アルアクサ殉教者旅団」の幹部ら4人が死亡した。(ピンポイント掃討作戦)
http://blog.melma.com/00112192/20040504013750


さらに、ピン・ポイント作戦とマス攻撃の両面作戦が取られる時、そこには、重要な動機が隠されている。
それは、本来の中心(と思われる人)、本当のターゲット(と思われる人、物)を敢えて狙わない、殺さないことである。(或いは、そのように努力することである。)(下記の参考1参照)
その理由は、別に、形式上のターゲットを評価しているためでは決して無い。むしろ、逆の場合もありうる。彼らは、むしろ、形式上の中心(ターゲット)を無力化でき、その力を隠然と示せることを狙っている。こうした両面攻撃は、非常に高度で知的で精密な計算が必要であるが、その分、その能力に自信のある者にとって、絶好の見せ場となる。
ランティシ氏の暗殺についても、『アラファト氏』は最後まで温存され続けている。(アラファト氏以上の最終目標が現れた時点で、アラファト氏は本当に狙われるだろう。)(下記の参考1参照)
イラクのフセイン(と思われる人物)も生け捕りにされている。しかし、イラク攻撃は継続され続けられている。(下記の参考1参照)
但し、形式上のターゲットが狙われる場合もある。(チェチェン)http://blog.melma.com/00112192/20040509202649
より高いレベルのターゲットの登場か、或いは、技術的未熟のためと推測される。
(参考1)
a)アラファト議長の例 2004年04月04日(日)
アラファト議長、イスラエル首相の暗殺脅迫を一蹴
(ロイター)
 [ラマラ(ヨルダン川西岸) 3日 ロイター] アラファト・パレスチナ自治政府議長は3日、イスラエルのシャロン首相による暗殺の脅迫など意に介さない姿勢を示した。
 議長は、官邸で報道陣に対し、「シャロン首相の脅迫は気にしていない。私が気にかけているのは、自治政府内の人民、子ども、女性、学生たちだ」と語った。
(4/23)米政府、アラファト議長暗殺に反対
 【ワシントン支局】バウチャー米国務省報道官は23日の記者会見で、イスラエルのシャロン首相がパレスチナ自治政府のアラファト議長を殺害する可能性に言及したことについて「(殺害に反対するという)米政府の姿勢に変わりはない」と述べ、首相の発言をけん制した。
 シャロン首相はテレビ局のインタビューで、14日にブッシュ大統領と会談した際に「約3年前の会談でアラファト(議長)を傷つけないと約束したが、もうその約束には縛られない」と伝えたことを明らかにしていた。
b)スーチー女史の例(ミャンマー)
 アウンサンスーチー書記長、自宅軟禁
http://blog.melma.com/00112192/20040420004327
c)シュワルナゼ氏の退陣
http://blog.melma.com/00112192/20040506195347

(参考例2)(マス攻撃の例)
a)ファルージャ   http://groups.yahoo.co.jp/group/RroomSustainability/message/75 (YAHOO JPへの登録が必要である場合があります。)




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